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国連環境計画(UNEP)が2001年2月に発表した報告では、2050年に二酸化炭素(にさんかたんそ)の濃度(のうど)が2倍になると、繰り返される異常気象や海面上昇による土地の喪失、漁業や農業への悪影響(あくえいきょう)、水不足などで年間3,000億ドル(約35兆円)以上の損害が発生すると予測しています。
IPCC(気候変動に関する政府間パネル)第3次評価報告書でも、壊滅的(かいめつてき)な異常気象による世界規模での経済的損失は、1950年代の年間39億USドルから1990年代の年間399億USドルへとすでに10.3倍も増大していると指摘しています。こうした損害を補償する保険も、今後保険料が高騰(こうとう)していくでしょう。
地球温暖化によって、北大西洋の海洋の大規模な循環(じゅんかん)が変わり、グリーンランドや南極の氷床が崩壊(ほうかい)し、シベリアなどの永久凍土や沿岸の堆積物(たいせきぶつ)から大量の温室効果(おんしつこうか)ガスが放出されるなど、予測できない急激な変化を引き起こす可能性さえあります。
日本やアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、ロシアなどの先進国では、気温の上昇幅が小さければ悪影響(あくえいきょう)だけでなく、冬季の暖房費用の低下など好影響(こうえいきょう)もある可能性があります。また悪影響に対処するだけの技術力も資金力もあります。しかし、少しの気温の上昇で多くの途上国が正味の経済的損失を被(こうむ)り、温暖化が進行すればするほど損害も大きくなります。にもかかわらず、途上国にはその悪影響に備えるだけの力はありません。その結果、地球温暖化の利益を受ける人がいても、地球全体では被害を被る人の方が多くなります。
地球温暖化による気温や水温の上昇、降水量の変化などによって、自然の生態系も深刻(しんこく)な影響(えいきょう)を受けます。しかし目に見える変化は、気候が変化した後、数年、数十年、数百年と遅れて起こります。ですから今明確な変化がないからといって、地球温暖化の影響は大したことがないと思っていると、いずれ取り返しのつかない変化が生じることになるかもしれません。
2080年代までに海面の水位が40cmしか上昇しなかった場合でも、海面の上昇がない場合に比べて、毎年高潮により浸水を受ける人口が世界全体で7,500万〜2億人も増加します。また熱帯、亜熱帯の島国は、高度の低い土地が多いのに加えて経済的に貧しい人々が多く、もっとも深刻(しんこく)な影響を受けやすいと考えられています。海面の上昇によって、沿岸侵食(えんがんしんしょく)の拡大、土地や財産の損失、人々の移住、高潮のリスクの増大、沿岸の自然生態系の減衰(げんすい)、淡水資源への塩水(海水)の浸入が起こり、これらの変化に対処するため高いコストが生じるでしょう。また観光は多くの島にとって収入及び外貨獲得(がいかかくとく)の重要な源ですが、異常気象の増加などや海面の水位の上昇から深刻な観光資源の損失にみまわれます。